(資料)
※ 校庭下工弁慶号は国産か?
株式会社 交友社(雑誌「鉄道ファン」発行:本社名古屋市千種区宮西町3丁目)
編集部 諸河 久氏からの提供資料
昭和46年夏休み(8月)のある日、上記交友社の諸河久氏が下工弁慶号を撮影の為に来校されたので、私が面談したところ、意外にもにも下工弁慶号は国産であるとのことで、詳しい資料の提供を求めたところ次のような資料が証拠写真とともに送られてきた。
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スモール氏が調査されたアメリカ・ボールドウイン製のものは、この機関車です。下松のものと全く似ていますが、これをそっくり真似てわが国で造ったわけです。 |
※ 校庭のBoldwin(1月号サロカー)は国産
鉄道雑誌 「鉄道ファン」 昭和38年3月号掲載 白 井 茂 信
東京大学生産技術研究所教授(蒸気機関車の研究家)
庄田 秀氏からお知らせのあった下松工業高校に保存のボールドウイン、サドルタンクについては、昭和36年12月19日付交通新聞に「私は誰でしょう・・・生徒に愛される、下工弁慶号」という題で紹介され、さらに37年1月12日付で「米国製三両中の一両、下松の機関車生まれ故郷判る。C.Sモール氏(モービル石油技師)が調査」という見出しで解答が掲載されたことがあり、興味をもたれた方も多いかと思います。 しかし、この機関車はC.Sモール氏の言われるボールドウインではなく、実は国産と推定されます。私はまだ実際に現物に接しておりませんので推定という言葉を使いましたが、色々な点から間違いないと考えます。というのは数年前、小熊米雄さんと石川島重工業株式会社の社史編纂室をお訪ねした際、同社の保存資料の中に、これと同形のものを発見したからで、海軍に納入した記録もありました。この機関車は一見ポーター乃至ボールドウイン風ではありますが、細部の作りが違います。ボールドウイン・(川上幸義氏による)には、確かに徳山海軍燃料廠納入のものにB型タンクが2形式五両がみられますから、C・Sモール氏は単に海軍→下松工業高校という事実と、このリフトから推定され解答を寄せられたものと思われます。石川島の機関車国産化(特に小型機)という問題は、なかなか興味のあることで生産技術史的にみれば雨宮の先生格に当たりましょう。ただ同社が船舶方面にカを入れ、鉄道車両はその後殆ど生産しなかったため一般にはあまり知られず「石川島」の存在に気が付かなかったのではないでしょうか。下松のボールドウインについての交通新聞の記事に対しての修正意見は小熊さんから申し出られましたが、今日までそのままになり、いまだ、ボールドウインと信じている人が多いと思いますので、あえて、本誌を通じ再検討の要あることをお伝えしておきます。
(石川島造船所製 5.5屯機関車) (下松工業高校における機関車) |
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